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もの思いの譜

ここには私が撮影した写真を中心に詩やエッセイを書き込んでいます。

写真 夜の植物たち  +散文

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■写真   夜のあちら闇のこちら   夜の植物たち

■散文   背後霊

 私は30歳ぐらいのときに視覚障害になったこともあり、さらにもともと運動感覚

が鈍いこともあり他の視覚障害者と比べると白杖をついての一人歩きがやや苦手で

ある。自分では堂々と歩いているつもりでも周囲から見るとかなり危なっかしい歩

き方をしているようである。

いまから10年ほど前 北陸のある町に住んでいたころのことである。

春というにはまだうすら寒い3月ごろだったろうか・・とある夕暮れ時に近くのスー

パーに買い物に出かけた。近所といっても田舎のことなのでふつうに歩いても20分

ほどかかるし一番近いところがそこしかないので、小さなスーパーだったがいやも

おうもなく買い物はそこ限定であった。

 とりあえず買い物を終え買い物袋を片手にぶらぶらさせながら薄暗くなった(と

思う)道を例のごとく同道と歩いて帰途についた。田舎とはいえ一応は県庁所在地

の市内なので家はまばらではあるが道路沿いにぽつぽつと並んでいる。しかし夕方

なのにどこの家もひっそりとして話し声や子供の騒ぐ声やテレビの音などもまった

くしない、はたして人が住んでいるのか?と思えるほど静かである。道の反対側に

は用水路があり、そろそろ田んぼに水が入るためか、かなりの量の水が流れている。

ここらの水は北アルプスの湧き水なので透明度が高いしそのまま飲んでもいいぐら

いきれいだ。幅1.5mほどの用水路になみなみと水が流れているのだが勾配がゆ

るいためか流水の音もあまり聞こえない。

車もほとんど通らない静かなところなので自分の足音と買い物袋のがさがさ音だけ

だ響く。

 しばらく歩いていると背後から ひたひたとした足音が聞こえてきた。距離にす

ると10メートルほど後ろだろうか・・。その足音は私の歩く速度に合わせるよう

にぴったりとついてくるし、おまけに四つ角で私が立ち止まると足音も止まる。

これはもしかして背後霊か幽霊か妖怪化・・。でもそれが超こわい顔した幽霊でも

私には見えないのでちっとも怖くない。 それよりも後ろで足音がすると気になっ

てとても歩きにくいのである。

そのうち背後霊の足音に混じってがさがさと音がする・・たぶん買い物の帰りのお

ばちゃんが、たぶん私を心配して背後で見守ってくれているのか、私が怖いので追

い越すに越せないのか・・それにしても気になって歩きにくい・・。

何度目かの4つ角で私が立ち止まり背後霊もぴたっと止まった。

そのとき私は言った。 「すいませんが先に行ってもらえますか」

買い物袋をもったおばちゃんが 「あ!はい」といいながら私の横を通っていった。

※ ちなみにこういうときは黙って追い越していただくか、「途中まで一緒にいき

ましょうか」と声をかけていただくのが一番ありがたいです。